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お題は、as far as I know さんからお借りしました。

古代勇者御一行で、ユアンとクラトスです。

今更ですが、捏造設定が満載です。むしろ捏造設定しかないです。

四人の出生辺りの設定を色々妄想した結果です。

あ、あんまり明るい話ではありません。(これこそ今更ですが)





 ろくな愛をしらない。

 当然だろう、とユアンは思う。ハーフエルフとして生を受けながらも、それを隠さねばならない少年期を経て、今ではハーフエルフだからと重用されながらも、その能力の高さを人間から疎まれる。誰かを愛するだとか愛されるだとか、そういった舞台に立つ以前の話だ。己がままを振る舞うことが出来ない種族なのだ。まともな愛など知らない。愛とは一体どういうものなのか、ユアンは知らない。

 旅の仲間たちもそうだ。

 ミトスとマーテルは、お互いしか知らない。愛とはなんだろうか。万一、そう万が一、二人に尋ねたとして、返ってくる言葉はどんなものだろう。僕が姉さまを想う気持ち?わたしがミトスを慈しむ想い?それは間違ってはいない。だが、それだけではないだろう。血の繋がりは絶対ではないが、この二人に関して言えば、絶対だと断言できる。姉だから、弟だから、それだけの理由でお互いを愛しいと思うこの二人の絆は尊いと思うが、だがそれだけでは駄目だろうと、それだけではないだろうとユアンは思うのだ。絶対に自分を裏切らない。そんな絶対の上でしか成立しない愛に甘えてばかりいてはいけない。

 クラトスは、

 ユアンは隣りで眠るクラトスの顔を覘き込む。彼は人間だ。だが、人間である、ということを、彼自身が忘れてしまうことが多々あることを、ユアンは知っている。いや、ユアンだけではないのだけれど。

『わたしではあなたをたくさん愛してあげることが出来ないから。あなたは自分であなたをたくさんたくさん愛してくれる人を見つけなさい』

 母に抱き締められながら、そう告げられたのだと、クラトスは平素と変わらぬ調子で語った。学生の頃の話だ。子として大事に思われていないわけではない。ただ、母の一番は自分ではなく、母の無償の愛は己に注がれることはなかった、と。
 クラトスはその言葉を、別段悲しいことだと思ってはいないようだった。そうかならば仕方がない。母がそう言うのなら、己で見つけるしかあるまい。そう言葉通り受け止めたようだった。クラトスの性格は、ユアンと出会った十代半ばの頃から既に今とそう変わりはなかった。物事に淡白だったのだ。

 私たちは、揃いも揃って、ろくでもないな。愛とは、この世に生を受けた全ての生き物が与えられる、最初の祝福ではなかっただろうか。少なくとも、精霊を信仰するこの世界では、それが聖句となっている。ユアンは生まれた瞬間にハーフエルフの能力を望まれ、ミトスとマーテルは互いの世界に閉じ込め合って寄り添うことしか出来ず、クラトスは無償の愛に包まれることなくその事実を受け入れた。

 ろくでもないな。そう、自嘲する。
 
 ああそれでも。彼らを愛しいと思っていることぐらいは、ユアンにだって分かるのだ。それが分かるのなら、ろくな愛をしらなくとも結構上等な人生を送っているのでは、とユアンは思うのだ。





***
お題を頑張って意識してみました。色々自己満の設定があるんですが、それがちゃんと露出できる気がしない。
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