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妄想戦国です。
最早妄想としか呼べない。。。
基本暗かったり、ひどかったり、欝だったりします。
相変わらず左衛門佐殿は私に偏愛されてますが、基本愛情は歪んでます。

テーマは、真田左衛門佐という人。
伊木七郎右衛門遠雄さんは、左衛門佐ファンの一人です。
左衛門佐殿って、何でそんな好かれるん?ってぐらいのファンが出来るか、
蛇蝎の如く嫌われるかの物凄い極端な感じ。

もちろん、伊木殿は前者で、浅野長晟さんは後者。


あっ、タイトルは大好き太宰治の『駈込み/訴え』から。
佐殿っていうのは、左衛門佐殿のことです。






「孤独なお人なんです。」

 あの男の軍監で疲れないのか、と訊ねた答えがそれだった。後藤又兵衛は、まるで得体の知れないものを見るかのような目で、伊木遠雄を見下ろした。話題の渦中である真田左衛門佐とそう年齢は変わらないはずだが、あの男が全く年齢を感じさせない風貌のせいで、伊木が少々老けて見える。いや、同様に年齢を重ねている己が言えたことではないが。

「あのお方はお寂しいのに、それを是となさる。誰かに何を求めるでもない。あの方にとって、それはただの偽善なのでしょう。それに気付いてしまった以上、どうしてあの方を厭うことができましょうや。」




***




「人はね、概ね三つの種類に分類できるんです。」

 毛利勝永はにこ‥、と笑った。反射で現れた二の腕の裏の鳥肌を撫でれば、勝永は更に笑みを深めた。後藤又兵衛にとってこの男の笑みは、やたらと人の不安感を煽るように思えて仕方がない。不埒なのだ。整った顔とこの男の纏う空気は、どうもいけない。時々、男なのか女なのか、よく分からぬ表情で人の眼を覗き込んでは、人の感情をざわめかせる。厭な男だと又兵衛などは思う。

「一つは寂しい寂しいと言って、人に物に或いは宗教に縋り付こうとする者。」
 耶蘇教狂いは皆これです。ただし、明石殿はそうではないでしょうね。あの方にとっての宗教は、ただただ、偶々隣りにあったものでしかないのでしょうから。

「一つは寂しさを受け入れてしまった者です。これはただの諦めです。それはある意味、とても人らしい。人の自然な形に近いですが、そうなるには、この世はあまりにものが溢れすぎています。」
 佐殿は、きっと生まれた時からそうだったのでしょう。あの方は、人として歪んでいますから。

 そう言って勝永は、又兵衛の顔を覗き込みながら、にっこりと笑った。ひやりと冷える背筋が不快で、又兵衛はいつも以上に剣呑な視線で勝永を睨み付けたが、彼はひらりと身体を翻して、逃げる振りをするばかりだった。

「本来、人というものは孤独です、一人です。寂しいと感じるのは当然です、私もあなたも、結局たった一人で成り立っているのですから。そこに温もりはありません、優しさもありません、情もなければ想いもありません。当然ですね、自分自身を客観視できる程、人というものは恵まれていないのですから。」


「あとの一つは?」

 又兵衛が訊ねる。勝永はじっと又兵衛の眼を見据えて、

「あなたの様な人ですよ。」

 指を突き出して、又兵衛の鼻先にちょんと触れた。又兵衛は叩き落す勢いで、その指を押し退ける。不快だった。この男との会話はいつだってそうなのだ。

「寂しいだなんて感情知らない、鈍くって朴念仁で、そのせいで人の支持を集めるような、私が大好きな類です。」
 まあ、結局はただの馬鹿なんですが。

 思わず掴みかかろうとした又兵衛の腕をひょいと避けた勝永は、図星指されたからと言って怒らないでくださいよ、と笑うばかりだった。

「ふふ、ああでも、それでもきっと、


寂しさは、誰にだって在るのだよ。」






 
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書いてみたかったので、書きました。
伊木殿はイメージで出来てます。

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