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クロスオーバーです。…多分。

仏と我が家の信繁さん(創作)の話、です。

ずっと悶々としてたので、どうにか形にしたかったんです。

あっでも、信繁さんは出てきません。

あと、歴史的にもおかしいことになってます。

細かいことは気にしない精神です。

大切なのは、そこに燃えがあるかないか、です(…)








『四百年越しの失恋』


 フランスは、日本がまだ江戸時代と呼ばれていた頃、一度だけ日本を訪問したことがあった。(軍隊的な意味で)強いとはお世辞にも言えぬフランスだったが口だけは達者で、スペインを半ば騙すようにして船に乗り込み、旅の最中船酔いに悩まされるというハプニングがあったものの、恙無く日本本土に上陸したのだ。そうしてまんまと目的を果たしたフランスは、これまた口八丁手八丁でスペインを騙くらかし、見事に日本との面会を果たした。丁度、日本では国全体が、これが戦国最後の大戦かといきり立っている時期でもあり、滞在日数は短かった。その短い中で、フランスはとある人物と出会った。言葉の壁は分厚く、通訳か日本がいなければ会話は成り立たなかったが、それでも彼と共有する時間は心地良く、何十年、何百年経っても、あの温もりだけは未だに記憶に強く残っていた。
 だが、何百年単位で生きているフランスは、常に彼が意識下にあるわけではない。イギリス辺りに言わせれば、この辺りが薄情らしいが、常に新しい出会い新しい恋を求めるフランスにとっては、誰かを永遠に想い続けることなど不可能であるし、そのような綺麗事は好きではなかった。人は忘れる生き物であり、人は死んでしまう生き物であり、人は人知れず美化され英雄化されそのものの姿から遠ざかってしまう存在であることをフランスは知っていた。だからこそ、そういう風に想い出を愛していた。顔も名前も想い出せない恋人たちが無数にいることは確かであったし、それに寂しいと想いこそすれ、他人に口出しされる謂われなどないとフランスは思っている。
  そういうわけであるから、フランスは退屈な会議の最中、日本の愛想笑いを頬杖をつきながら眺めていたまさにその瞬間、ふと彼の姿が脳裏を過ぎった。得てして、見慣れない人種の人間というのは見分けが付きにくいものだが、それを差し引いても日本と彼とはよく似ていたようにフランスは記憶している。艶やかな黒髪に小柄な身体、本心を隠して曖昧に、けれども温かく柔らかく微笑むところなどそっくりだった。


『彼は男ですから、容姿が美しいと言われてもあまり喜びませんよ』

 手繰り寄せた記憶の中の日本が、そう言っていた。いや、人前で日本と呼ぶことは憚られて、その時は“菊”と呼んでいたのだけれど。おそらくは、いつもの口説き文句を呟いたところへの、日本の助言だったのだろう。その言葉で、彼が男であることを知ったはずだ。彼は女性らしいたおやかさはなかったが、同時に男くささも感じられず、正直どちらか分からなかったのだ。
己は日本の助言に何と応えたのだっけ。日本は少し困った様子で、それでも笑っていた。


『それならば、生き様が美しいと仰ってください。我々、こと彼のような立場の男は、その為に生きているようなものですから』





***



 会議は例によって例の如く、可もなく不可もなく幕を閉じた。手元の書類を鞄にしまい終えると日本はすぐに退室してしまう。いつもはその様を目で追いかけるだけのフランスだが、今日は彼が帰ってしまうよりも先に腰を上げた。率先して自分から話しかけることのない日本だが、誰かに話しかけられて素っ気無い素振りをするようなことはしない。彼は未だに人付き合いが下手だった。

「日本、ちょっと話さないかい?お兄さんの昔話に付き合ってくれない?」 

歓迎されているのかいないのか、判断が難しい笑みを湛えた日本は、ええわたしでよければ、とフランスの言葉に頷いた。


「日本は初めて俺たちが出会った時のこと、覚えてる?」
「スペインさんの船に同乗して来られた時のことですね」
「ああ、そう、その時。その時、日本に紹介された子がいるじゃない?」

 日本は深く沈んでしまった記憶を探るように少しだけ遠い目をして、フランス越しに向こうの壁を見やった。

「ええ、彼のことはよく覚えています。彼は本当に美しい、美しい一生でした」

 何百年も前の話だ。彼が人間である限り、生きている可能性などこれっぽっちも期待はしていなかったが、確かにその言葉を聞いて胸に広がったのは、彼への哀悼だった。

「そっか…」
「はい、実に見事な討ち死にでした。最後の最期、彼はもののふとして実に美しく散りました」
「あ、いつは、町人じゃなかったのか?」
 走った動揺に、日本は気付かないふりをして笑みを深めた。それが余計にフランスの心に波風を立てているなど、彼は思いもよらないだろう。

「まさか!あなたに名乗っていた“ベン”というのは幼名から取ったものですよ。本名は真田左衛門佐信繁、いえ、真田幸村と言った方が分かりやすいでしょうか。彼は我が国が誇るもののふ、ああ、ええっと、あなた方が大好きなサムライですよ、サムライ。彼は槍術に優れていましたし、軍師としても一流で、用兵などはまさに鬼の如くでしたから」
「あんな蚊も殺せなさそうな、男、が?」
「それが真田信繁という男の不思議です。……フランスさん、もしこれからも、彼を思い出すようなことがありましたら、哀れな一生だと気の毒に思うのではなく、素晴らしい生き様だったと誇ってあげてください。こと、もののふという存在は、その為だけに生きていたのですから」

 

 

 

***

…正直、途中で飽きた(…)

フランス兄ちゃんと信繁さんは普っ通に相性がいいと思うんだ。

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