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ば さ ら です。

現代パロで、転生ネタで、初っ端から十勇士の一人を捏造してます。
すごく断片。現パロにおける、真田幸村というひと。



以下、設定というか、下地っぽいもの。

記憶持ってる子と持ってない子がいます。
持ってない子は、今のところ佐助と幸村ぐらいです。
(一応、織田家の面々は全員持ってない設定ですが、まず書かないので割愛。明智と長政だけ持ってる設定です)

政宗と幸村は幼馴染です。
佐助と慶次と元親は同中です。
元親と元就も幼馴染です。

慶次と元親だけ一個上(でもダブリ)、後はみんな同い年。

慶次→幸村ベースに、やっぱりもやっとしてます。










真田幸村の死に様は、決して真っ当ではなかった。
真っ当な死に様がどういったものかは分からないが、とにもかくにも、どこか気ちがい染みた末恐ろしさがあった。

そういう記憶が、才蔵にはあった。だが実際、主の死因が何であったのか、才蔵は覚えていない。知らない、のではない。才蔵自身も当事者であったはずだからだ。だから、覚えていない、と思うし、その事実がひどくじれったい。そんな大事なことを忘れてしまった自分がひどく恨めしい。

才蔵の主は、全てをリセットされた状態でこの世に生を受けた。才蔵は成長すると共に、今の自分ではない違う時代の己の記憶が蘇ってきたのだが、主にはその傾向は全くなかった。才蔵が一番最後の記憶を失ってしまったように、主はその全てを失っていた。

主はもう真田幸村ではなかった。名は確かに幸村を親から賜ったが、姓は全くの別物だ。それでも由緒ある家ではあったので、世話係として以前と変わらず才蔵は幸村の側にある。どのような形でも再び主に仕えることができるようにと様々な職を極めた才蔵に死角はない。ただ、流石に医師免許を取得するには時間が足りず、幸村は主治医を抱え込むこととなった。

先の生では考えられぬことではあったが、幸村は万全の健康体ではなかった。身体を動かすのが好きで、規則正しい生活を送るのも苦にならない性格のお陰で、風邪も滅多なことではひかない。ただ、それは日常生活を送るに限った頑丈さであって、彼は特定のスポーツに打ち込むことができなかった。学校での体育や基礎体力作り程度の運動ならいいのだが、本気でスポーツをやるには彼の肺は脆かったし、他にも色々と頑丈ではない部位がたくさんあった。抜群の運動神経とセンスを持ってはいたが、アスリートの道は早々に絶たれていた。それでも身体を動かすことが好きな幸村は、毎朝決まってランニングをする。それに付き添うのが才蔵だ。己の限界を知らない彼は、才蔵がストップをかけなければ身体が壊れるまで気付かない。一度マラソンで喘息を起こし救急車で運ばれたこともあり、幸村の周りの人間は彼の運動に対しては過保護気味になっている。幸村もその辺りは理解しているようで、自分でコントロールできる範囲では、過剰な運動を避けているようだった。

そのおかげか、その一度以外に幸村が病院に入院するような大事には至っていない。今日も定期健診で病院を訪れているだけであって、数値だけを見たのであれば幸村ほどの健康優良児もいないだろう。

幸村は丸椅子に座って、医師が手にしているカルテを覗き込んでいる。専門用語が並んでいる紙面はさっぱり読めないのだが、医師と正面から対峙することを苦手としている幸村は、そうして視線をそらしているのだ。才蔵はその様を幸村の後ろに立って眺めている。膝の上でぎゅうと拳をにぎるのを、才蔵はこっそりと確認した。病院という場に緊張している、というよりは、目の前の医師への苦手意識がそうさせているのだろう。名を明智光秀という。どんな心の転機があったのか才蔵にはとんと見当がつかないのだが、どういったわけか彼は医師の道を選択し、そこそこの名医と評判になる程にまでなっていた。

幸村は焦らすように何も喋らない光秀からの診断結果をじっと待って、更にぎゅうと身体を強張らせた。これがかつての主であったのであれば、手の平が傷付きますと肩の力を抜くように提言したが、今はそんな心配は必要がない。せいぜい、手の平にくっきり形の良い爪の跡が残る程度、それもすぐに消えてしまうだろう。主がそうであるように、才蔵も色々と衰えた。風のように駆けることも、身軽に飛び跳ねることも、鋭く主の声を拾い遠い主の姿を見つけ仲間内でしか分からぬ独自の音を発することができなくなってしまった。忍びの技は努力せねば取得することなど無理なのだ。いくら才能があろうとも、鍛錬をせねば何も得ることができない。せいぜい才能が補えるのは一、二割ほどで、忍びの良し悪しは努力の賜物である、というのが才蔵の持論だ。才蔵は、あえて訓練をしなかった。それよりも覚えることがたくさんあったからだ。主のどんな職種にも対応できるように、と我武者羅になって挑んだ資格は多種に及び、最早資格取得マニアでしかなかったけれど。

「あの、先生、」
幸村が控えめに声をかけた。才蔵は、ただじっと二人を眺めている。才蔵の役目は診断結果を正しく彼の父に報告することであり、彼らの間に割ってはいることではない。才蔵は確かに世話係として幸村の側にあるが、それは決して保護者ではなかった。
「どうして俺の身体は、その、普通ではないのですか」
「そうですねぇ」
幸村の背がびくりと震えて、背筋が伸ばされた。向けられた笑顔は決して心地良いものではない。
「私はね、これでも結構信心深いんですよ。私が思うに、前世のあなたは相当な極悪人だったのでしょう。打ち首に処されるのが当然の罪を、あなたはきっとたくさん重ねていたんですよ。だから、そのツケを今、身体で支払っている。――というのはいかがですか?」
咄嗟に身体が動いた。が、結局は乗せていた重心の足を変えただけで、空気の振動は少なかった。それでも才蔵の動揺に気付いた光秀が、才蔵に向けて笑みを向けた。幸村は、己が真田幸村であったことを知らない。才蔵がいかに声を上げても、彼にはピンとこないだろう。
「…その手の話はよく分かりません。好きではありません」
「そうですか?体のいい方便ですよ。こう言ってしまえば、諦めがつくでしょう?」






***
色々力尽きました。。。
幸村の喋り方は現代アレンジを入れてます(…)

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