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ここからちょっとだけ煉義っぽいですが、そういうのじゃないです。
あと、困ったときの不死川さん召喚。






 事後処理は大規模なものとなってしまった。乗客は総勢二百名、怪我人は多数だが幸いにも死者はいなかった。隠は忙しそうに煉獄の目の前を行き来している。少しは手伝いたかったが、正直身体はもうへとへとだった。座り込んだまま動ける気がしない。柱になって初めてのことではないだろうか。うむ、柱になったことで慢心していたのかもしれぬ、鍛錬のし直しだ!己を叱責しつつ、隣りへと視線を向ければ、義勇も煉獄同様に座ったままだ。男の煉獄ですら疲労困憊なのだ、義勇の身体の負担を思えば、頭が下がるばかりだ。

 煉獄は先の戦いで、久々に己の死を見た。恐怖は不思議となかったが、焦燥が胸に残った。俺が死んだらどうなる。煉獄家は、千寿郎は、炎の呼吸は。それは、はっきりとした質量で、煉獄の心を支配した。俺は自儘に生きただけで、何も残してはいない。煉獄家の長男として、責務をまだ果たしていない。それは、あってはならぬことだ。俺が俺として、生きて死ぬのであれば。いつか死んでしまうのであれば。残していく者達の手当てもせず死ぬことは、許されぬように思えて仕方がなかった。こうしてはおれぬ!と立ち上がりたかったが、腰は根を張ったように重かった。
 それでも、焦燥を持て余して、隣りに座る義勇へと目を向ける。相変わらず、涼しい顔をしている。かすり傷だが、頬にできてしまった傷に勿体ないと思った。満身創痍は煉獄も同じだが、女性が傷だらけになって戦っているのに、何故だか憐れとは思わなかった。相手が甘露寺であればまた違った感想を抱いただろうが、義勇なればそれを是とするのが正しいだろう。むしろ彼女を守って戦うのは、彼女への侮辱にあたろう。そう至って、煉獄は己の考えのはまり所に納得した。
「勝てなかったな!やはり上弦の鬼は強い!」
 義勇がちらりと煉獄を振り返る。僅かに顔を歪めていた。傷が痛むのかとも思ったが、肋が折れてなお、手首が折れてもなお、刀を振るおうとしていた彼女にそれを聞くのは無意味であろう。
「だが、負けなかった。誰一人死ななかった。俺は、それを誇らしく思う。」
「・・・お前が、責務を果たしたからだろう。」
 ぼそりと呟く声に、そうだな!と頷いて、
「だがそれも、冨岡、君がいてくれたからだ。俺一人では上弦の鬼に敗れていた。君の助力に感謝する。」
 義勇は顔を伏せた。長い睫毛が、頬に影を作る。彼女は、常にひっそりとただそこに在る。まるで水のように存在する彼女が、戦いの場ではいっそ苛烈に舞うのだから、煉獄は彼女の不思議を思わずにはいられない。最後の一撃、彼女は自分を杭の代わりにして、鬼の動きを止めていた。彼女の手首が折れなければ、伊之助が間に合わなければ、彼女は上弦の鬼もろとも煉獄に斬り裂かれていたのだ。その覚悟が、ただただ好ましい。潔い人間は好きだ。美しいとすら思う。もし義勇が命を落としていたとして、義勇は煉獄を恨まないだろう。鬼を討ち取ったか、あっぱれだ、とむしろ笑んでくれるのではないだろうか。残念ながら、煉獄は彼女に笑みを向けられたことはなかったので、想像するのは難しかったが。義勇には鬼殺に対する覚悟があった。その潔さを悲しむ人もいるだろう。簡単に命を捨てるな!と彼女を怒鳴りつける人が、確かにいることを煉獄は知っている。だが煉獄は、彼のように義勇の蛮勇を咎めることはない。義勇の生真面目なまでの強さを――いかなる時も命の天秤が揺らぐことのない、薄氷のような強さではあるが――何よりも尊いもののように思えて仕方がないのだ。錆兎には頭を下げよう、俺の弱さ故、冨岡を死なせてしまった、と。けれども、義勇がそう祈ったように、煉獄がそれを受け入れたように、二人が選択してしまったかもしれない未来に、欠片も後悔がない。俺も中々に非情な男だな!と煉獄は心の中でかっかと笑った。

「・・・俺ではなく他の者であったなら、上弦の鬼は討ち取れていた。俺は自分の弱さが悔しい。自分の手首の脆さが憎い。」
 そう言って、義勇は忌々しげに手首をぷらぷら揺らすものだから、流石の煉獄もびっくりしてしまった。命を燃やすその頃合いを見誤ってはいけないと思っている煉獄だが、生き残ることができたのだ、再び相見えたその時にあの鬼の頚を掻き斬ることのできるよう、自愛せねばなるまい。思わす、折れた部分に負担をかけるものではない!と一喝してしまった。錆兎で慣れているのか、義勇は瞬時に動きを止め、すまない、と更に深く俯いた。
「君の自己肯定の低さは、いっそ見事だな!俺を助けてくれた大事な身体だ、もっと労わってやってくれ。」
 義勇は僅かに視線を向けたが、さて一体どこまで分かっていることやら。

 間違いなく二人は重傷であったが、怪我に慣れている分、手当ては後回しにしてもらっていた。小さな裂傷は、呼吸で処置することができるのも理由の一つだ。とにかく先に手当てが必要なのは炭治郎であったし、他の二人も怪我を負っていた。隠の手が空くのを、煉獄は空を見つめながら待っていた。長い夜が明け、柔らかな陽光がゆっくりと空を照らしていく様を眺めていると、生きていることを殊更実感した。同時に、まるで心の水面にぽたりと一滴、雫が垂れたような、突如現れ波紋となって広がった言葉が、感情と結びつく前に煉獄の口から飛び出していた。

「ときに冨岡、君に二世を契った相手はいるか?」

 唐突であった。その自覚はあったが、割と話したいことを自分の好きなように話すきらいのある煉獄は、訝しそうに煉獄を見る義勇の目を全く気にしなかった。義勇の無口に多少の理解のある煉獄だ。彼女もまた、煉獄の強引さに諦めている節があった。義勇は煉獄の発言の意図を探ろうとしたようだが、やはりすぐに諦めて、言葉を額面通りに受け取り、いない、と首を振った。
「では恋人は?」
 ふるふると、またしても首を振る。
「錆兎とは、どうなのだ?」
 一瞬、義勇の動きが止まったように見えた。だがそれは、刹那のものであった。義勇はじっと煉獄の目を見つめる。けれども、そこに映っているのは煉獄ではない。彼女は考えている。じっくりと、相手に伝えられるように、自分の言葉を探している。煉獄は、ただ待った。そうして彼女の声が聞けた時もあれば、彼女がふいと視線を外すこともあった。煉獄も自分の想いを言葉にする難しさは分かっているが、殊更彼女には困難なようであった。
「よく、分からない。錆兎とはずっと一緒に居たい、それが許されるのであれば、」
「俺は錆兎がどうこうではなく、君の気持ちが知りたい。」
「・・・分からない。俺には、先のことを考える余裕がない。いつも、目の前のことで精いっぱいだ。」
 そうか、と微笑み、煉獄はゆっくりと義勇へと向き直った。動かした身体は悲鳴を上げていたが、それが分かるということは、生きているということだ。己の身体から上がった非難は、己でねじ伏せた。休むのはもうしばし待ってくれ。
 煉獄は両手を義勇の両肩に置いて、ゆっくりと息を吸った。

「冨岡、俺と夫婦になってくれ。」

 ざわ、と空気が揺れた。残念ながら、義勇ではない。彼女は煉獄の言葉の意味を図りかねて、ぐるぐると思考を重ねていた。言葉通りの意味で、それ以上でも以下でもなく、更に言うなれば分かりやすい言葉を選んだつもりだったのだが、それがむしろ混乱を呼んだのかも知れない。炭治郎や隠達の会話は煉獄にも聞こえているが、外野の喧騒など知らん!と、彼らへの弁明は端からするつもりがない。冨岡さんは女性ですので、と隠の疑問に答えている炭治郎に、やはりそこからか!と思わずにはいられなかった。

「・・・どういう意味だ。」
「そのままだ。煉獄家に嫁ぎ、俺の嫁になってくれ。」
「お前ならば、俺などで手を打たずとも、良い相手を選びたい放題だろう。」
「見合いの話はお館様から頂いたがな。彼女達よりも君がいいと思った。俺は君がいい!」
「・・・何故、俺なんだ。俺は、お前に相応しくない、」
 離してくれと言う義勇を無視して、更に強く彼女の肩を掴んだ。隊服は体型を誤魔化してしまう為、男にしか見えない。錆兎と同じ型の隊服を着ているのも、その錯覚をもたらす一因だろう。だが触れれば、当然煉獄よりも薄く、女性のものだと分かる。
「そうだろうか?君ほど俺に馴染む相手も、そうそういないと思うぞ。そうだな、理由、理由が必要か。」
 これは失念していた!と笑い、彼女の眸を覗き込む。別に威圧したわけではないのだが、青みがかかった彼女の眸が僅かに揺れた。
「一つ、君は強い。俺達の子は、誰よりも強くなると思わないか!俺は君との子を育ててみたい!」
「俺は強くはない。だが、お前の子は確かに強くなりそうだ。」
「そうだろう!」
「だが、俺は肉付きが悪い。」
「確かにな!肩は骨と筋肉で硬い!宇髄の胸筋の方がおそらくは発達しているだろう。やつの体格の良さは、同じ男としても羨ましい限りだ。まあ、嫁にするなら、胸も尻もないよりはあった方が嬉しい!男の性というやつだな、すまん!」
 思わず耳をすませていた善逸は、炎柱はなんて無神経なことを、なんてでかい声で言うのか!と叫び出したくて仕方がなかったが、義勇の音に一切の怒りはなかった。怒んなさいよ!宇髄ってのがどんだけ胸筋お化けか分かんないけどさ、男と女性の胸を比べるなんて、あんまりではないだろうか!一人ぷんすこしていたが、伊之助が気配がうるさい!とぽかぽか殴ってくるものだから、善逸もそれどころではなくなってしまった。
「二つ、俺達は相性が良い。今まで共に戦う機会はままあったが、今日ほど密に連携を取ったことはなかった。だが、よもやよもや、息が合っていたと思わないか?俺達はきっと、呼吸の間が似ているのだろう。最後はほぼ勘で動いていたからな!思えば、互いが邪魔をし合う可能性もあったわけだが、それが全くなかった!これは素晴らしいことだ!」
 義勇も同じように考えていたのか、煉獄の気迫に押されながらも、ゆっくりと頷いた。うむ、うむ!そうだろう。使っている呼吸は異なるが、吸う吐くを行う個々が持つ独自の拍子が、かちりと嵌ったのだ。決して同じ調子を打っているわけではない。ただ呼吸の合間に僅かに発生する隙を、無意識に互いが感じ取り補い合ったのだろう。
「三つ、君は美人だ。正直、これが一番の理由だな!先の二つも確かに大事だが、要は俺も美人の嫁がほしい!初めて気付いたが、父に似て面食いのようだ。あれやこれやと言い募ったのは、俺の格好つけだ!」
「俺は美人ではない。」
「そうだろうか?俺の目にはお前が美しく映るぞ。」
「胡蝶に検査してもらえ。」
 中々に手ごわいな、と煉獄は笑みを深くする。あの涼やかな横顔を、目許を彩る睫毛が作り出す陰翳を、常に澄んだ青みがかった瞳を、美しいと言わずになんと褒めればいいのか。宇髄のように口が回らず、これは中々にもどかしい。
「俺の目は三十間先までくっきり見えるぞ!」
「ならばお前は物好きだということになるが・・・?」
「君がそう感じるのであれば、それでいい気がしてきたな!蓼食う虫も好き好きという言葉ある!その例えを拝借するならば、俺は虫で君は蓼だな!」
 なんでそうなるんだよぉぉ!!と遠く叫ぶ善逸の声に、元気だな!と煉獄は一言感想をこぼすのみだった。

 さて、この場にいるほとんどの人間をやきもきさせた空気を作り出していた二人だが、その穏やかで調子外れの雰囲気は、とある人物の登場で一気に四散した。風柱の名の通り、大きな土埃と共に風のように現れた不死川実弥は、義勇の名を叫びながら現れたのだ。

「冨岡ァァァ!お前、乗る列車、逆方向じゃねェか!フザケてんのか!新米じゃねェんだ、任務地にちゃんと向かえ!初歩の初歩だろうがァ!」

 開口一番の台詞が全てを物語っていた。ある意味、今回の一番の被害者は不死川だろう。彼はこの地から近くの山に巣くう鬼の討伐に向かったのだが、数は多いができれば一晩で退治してしまいたい、とのお館様の意向により、少数精鋭を重視し、義勇に任務の同行を願い出ていたのだ。本人は認めていないが、義勇が柱と並ぶ程の実力者であることは柱の中では共通認識となっており、継子のように伺いを立てる相手もいないとなれば、厄介な任務に引っ張り出されることもしばしば。今回も事前の情報から、義勇を連れて行けば他はいらないだろう、との不死川の算段であったのだが、伝えていた時間になっても義勇は現れない。仕方がない、先に山に入るか、と手当り次第に鬼の頚を斬っている最中に、己の鎹鴉から義勇の情報を得た。その時の不死川の怒りは、想像に容易いだろう。その怒りを鬼へとぶつけたせいでなんとか任務は完了したが、一晩中山の中を走り回らねばならなかったのだ。文句の百や二百は言いたくなると言うものだ。しかも、鎹鴉のうっかり聞き間違いは今回が初めてではない。最初に義勇に与えられた時点で中々に高齢だった鎹鴉は、おそらく現役の鎹鴉の中では最年長ではないだろうか。爺さん鴉が義勇ののんびりとした調子に合うのかもしれないが、流石に看過できない。
「す、すまない、」
 義勇が素直に謝意を口にする。不死川の剣幕は、正直煉獄ですらびくりと肩を揺らすることがあるのだが、義勇は欠片も怯まない。これが普通の女性であったなら、怯えて泣き出すことだろう。けれども義勇は、不死川の口の悪い、どう見ても堅気の人間ではない罵声にも、調子を崩したことはない。自分に非があると認めれば今のように謝るが、納得できなかったり分からない場合は、正面から訊ねる。この怒髪天を衝いている男に向かって、だ。すごい女性だな、と煉獄は感心せずにはいられない。残念ながら、その様子が不死川の怒りに油を注いでいることに、煉獄も気付いていない。
「だから何回も言ってんだろォが!さっさと鴉変えやがれ!!最低限のことはこなせるヤツを回してもらえ!」
「だが、まだ働けるし、」
「そう言って、この前、戦闘のド真ん中にとことこやって来て、お前大慌てで回収してたじゃねェか!!」
 これについては、義勇は折れる気はないようだ。二人のやりとりを眺めていた煉獄だが、まあまあと仲裁にかかる。不死川は今にも噛み付くような獰猛な眼を煉獄に向けたが、反対に義勇はああようやく解放される、とため息を吐き出した。それに気付いた不死川の、こめかみに浮かんでいる血管が更に二本三本追加された。ああもういい!錆兎案件だこれは、と義勇の説得を諦めた不死川は、煉獄へと視線を向けた。ちなみに錆兎案件とは、意思疎通の難しい義勇のあれやこれやを錆兎にチクる行為のことだ。主に不死川と伊黒が利用している。
「上弦の鬼と戦ったんだってなァ。壱か?弐か?」
「いや、参だな。冨岡と二人掛かりでも頚を斬れなかった。やはり上弦は強い。あれよりも強い鬼が上にいるのだと思うと、心底恐ろしいな!」
「怖くもねェくせに、んなこと言うんじゃねェ。」
「それもそうだな!だが脅威だ。」
 同感だ、と不死川は頷き、上から下まで煉獄の姿を見回す。その視線を受け、久々の満身創痍だ、もう数刻で筋肉痛地獄だ!と、散々な今の状態を告げる。技で使用する呼吸は、簡単に言ってしまえば、全身の身体能力を加速的に上昇させるものだ。が、もちろんその代償がある。己の体力もわきまえず呼吸を酷使すれば、筋肉には強い負担がかかり、それでも無茶を続ければ、手足が痙攣し刀を持つことはもちろん、立っていることすらできなくなるし、時には呼吸すら危うくなる。常中の呼吸はもちろん、長時間呼吸を使えるように柱であっても日々鍛錬は欠かさないし、ある程度慣れてくれば、現状の力の上限が分かる。柱であれば当然で、その境界線を日々更新してはいるのだが、今回ばかりは己が己の限界を決めてどうする!と境界線を大股で飛び越えて刀を振るっていたのだ。死線とは、本来そういうものなのだろう。命を燃やせ、炎を上げろ、その先に鬼の頚があるのであれば。
「手応えはどうだィ?」
「あるとも言えるし、ないとも言える。攻撃が利かぬわけではない。だが、体力勝負に持ち込まれれば難しいだろうな。どうも、決め手に欠いた。避けきれまいと思った手が何度かあったが、悉くいなされた、――不自然な程に。」
 そう思わないか、冨岡、と彼女に話を振れば、ぼんやりと二人の会話を眺めていた義勇が、小さく頷いた。が、その動作がどうもぎこちない。どうした?と訊ねれば、短く、腹が痛い、と言う。
「む、それは良くない。心当たりがあるのか?」
「・・・上弦の鬼に、腹を殴られたな。」
「まさかあの時か!」
 煉獄は、義勇と上弦の鬼との細かな攻防までは見えていない。まさか鬼の拳を腹で受けたのか。あの鬼の拳は、速さもさることながら、一撃一撃が重く抉るような鋭さだった。掠っただけで、皮膚が切れた程だ。
「見せてみろ!手遅れになっては困る!」
 早く早くと急く煉獄につられて、義勇も手早く羽織から手を抜く。は?と呆ける不死川をよそに、洋袴に仕舞い込んでいた裾を乱暴に手繰り寄せて、そのままぐいと持ち上げる。待て待て待てェェ!と手を伸ばす不死川よりも先に、義勇の横腹が露わになる。文字通りの素肌だ。錆兎の影響なのか、変なところで思い切りの良い義勇は、見やすいようにと更に大きく裾を持ち上げた。ひどい内出血を起こしているのだろう、まだらに赤黒くなっている腹は確かに痛々しいが、それよりもなによりも、胸に巻かれているのだろうさらしがちらちらと覗いている。動揺する不死川などお構いなしに、煉獄は赤黒い痕を眺めながら、酷く打撲していることは分かるが、それ以外は分からんな!と言い捨てた。そうか、と服をめくってからこちら、一切表情の変わらない、恥じらいの欠片もない義勇の一言に、不死川の血管は切れた。

「おいィィィ!!馬鹿なのか、お前ら揃って馬鹿なのか!冨岡、さっさと手を下ろせ!早く手当てのできる隠に診てもらえ!女の隠にだぞ、分かってんのか、この痴女!!」
 心外!と不死川を見る義勇には構わず、しまいには、聞こえてんだろォ!さっさとしろィ!と隠にも怒鳴り散らすものだから、義勇は再びため息をついたのだった。
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