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中途半端な時間になってしまったので、私的英日を考えてみました。
英がツンデレになってなかったりするのは仕様です。 短文で何となく流れだけ。自己満ですが何か? ・日英同盟発足後 ・同盟破棄 ・日独伊三国同盟 ・終戦間近 ・現代
「日本ってさ、イギリスの話って全然しないよね。」 本来ならば、イタリアがそう口を開いた瞬間に、ドイツの怒号が飛んでくるのだが、生憎今日は不在だ。日本はコップを手の中で遊ばせながら、そうですか?と笑った。 「うん。今はさ、こんな状態だけど、あのイギリスと同盟組んでたでしょ?で、イギリスの方がさ、何て言うんだろうね、甲斐甲斐しいって言うの?過保護?猫かわいがり?とにかくお気に入り!って聞いてたから。」 イギリスの片思いだった?とイタリアは、こういう時ばかり積極的に日本への攻撃を怠らない。ねえ?ねえ?言いたくない?おれは恋愛ごとには寛大だよ?そう早口にまくし立て、日本の顔を覗き込む。 「わたしも、ちゃんと好きでしたよ。」 あれ?過去系?ふふ、どうでしょうね。うわ、イギリス可哀相!イタリアは楽しげに笑いながも、日本から視線を外さない。日本は極々自然な動作で、そっと目を伏せて彼の視線から逃れた。日本の習性を知っているイタリアは、これ以上の領域に踏み込んでは来ない。ぎゅっと手を握られて、思わず少しだけ顔を上げた日本に、にこりと微笑む彼はいかにものん気そうな表情を貼り付けていた。 「おれがイギリスだったら、絶対に日本を離さないのに。日本と恋愛が出来るってすごく羨ましいよね!」 「イタリアくん、残念ながら、わたしたちはそういう関係まで行き着きませんでしたよ。」 え~そうなの?イギリスもバッカだなあ。間延びした声が重なる。 (違いますよ。わたしが恋愛の仕方を知らなかっただけなのです。恋愛ごっこのその先を望んでいたあの人と同じ場所に立つことが、わたしは出来なかったのです。) *** 日独伊三国同盟 無意識にコツコツと早いリズムで机を指先で打っていると、うるさいよ、とアメリカからの声が飛んだ。気が散るよ、もうまったく、ここは君ひとりが居るわけじゃないんだからね!一々イギリスの自尊心を傷付けるような台詞にも、噛み付く気力は残っていなかった。ああ悪かったな、と無愛想に音を止めれば、らしくない己の反応がつまらなかったのが、いささか不機嫌そうに、君はいっつも愛想がないよね!と乱暴に書類の束がデスクに叩き付けられた。これからの戦略が書かれた書類を、イギリスは無気力に眺めた。 「彼は中々粘るね。」 「あとは自滅するだろう。これ以上する必要はない。」 「君は何にも分かっちゃいないよね、いっそ賞讃に値するよ。仮にも彼の隣りに居た頃があったんだろう?君の目は彼の何を見ていたんだい?」 アメリカは既にイギリスに背を向けて、部屋の窓からどんより曇った空を見つめている。ふとした動作の合間、会話の隙間に、イギリスの知らぬ癖を見る度に、腹の底にしこりがたまっていくような錯覚を感じる。遠い存在になってしまった。目の前の弟も、かの、人、も。 「彼はね、こてんぱんにしてやらないと止まらない。止まれないんだ。暴走列車のようなものだよ、もうヒーロー以外には手を付けられない。だから俺が止めてあげないと。」 ヒーローは弱者の味方だからね!と空に向かってアメリカが叫ぶ。それぐらい、イギリスだって知っている。細い身体は中々強靭だし、プライドの高さもまた同じ。意志の強さはイギリスをたじろがせた程だ。 「言っておくが、お前はヒーローでもなければ、お前の掲げてるもんは正義でもない。」 「馬鹿だなあイギリスは。俺はヒーローだぞ。ヒーローだから、俺の掲げる信条は正義以外にないに決まってるじゃないか!」 「それを傲慢だと言ってるんだよ!」 「君、もう引退したら?傲慢は力もないのにヒーローぶるヤツのことを言うんだぞ。」 じゃあ、それちゃんと読んどいてよ、とアメリカはイギリスに背中を向けたまま、部屋を出て行った。イギリスは悪態を吐き捨ててデスクを殴りつけたものの、無感情に己を見つめる紙面にすら顔向け出来ず、彼がさっきまで見つめていた空へと視線をさ迷わせるのだった。 *** 終戦間近 隙のない動作で、日本の肩に手を回しぐいと僅かに力をこめれば、驚いた風もなくフランスを見上げ、ああやはりあなたでしたか、と笑った。アメリカの隣りに彼が佇むようになって、随分と久しい。未だにスーツの着こなしは難しいようだが、それでも過剰な背伸びはしなくなった。表情も以前のような掴みにくさは鳴りを潜め、喜怒哀楽は素直だ。ただ、やはりそこは日本であるから、時々、彼が何を考えているのか、彼が何を思っているのかが分からなくなってしまうことはある。怒っているのか、彼の中では既にかさぶたとなって綺麗に完治してしまった傷なのか、分からないことはもちろんあるのだ。二極に存在するはずのその感情がどちらなのか、そんな簡単なはずのことを覚らせないのは流石と言おうか、ひねくれていると言おうか。 「少し、疲れましたか?」 「ん、まあ、少し、ね。そういう日本は、極限に疲れてても顔に出ないからお兄さんは困っちゃうよ。」 「口説く相手を間違えておいででは?」 「お兄さんは可愛い子の味方よ?それに、さっきまでアメリカとイギリスの馬鹿に挟まれて可哀相な日本を癒してあげようかな、と、ね。」 それはそれは、ありがとうございます。そう言って日本は微笑む。この微笑は、特に感情が読めない。更につついても良いだろうか、彼はそう言いながら追求されることを拒んでいるのではないだろうか。一瞬の逡巡。ふと会場の喧騒が大きくなる。ああまた、イギリスとアメリカがどうでもいいことで揉めているのだろう。フランスが思わずため息をつけば、日本はふふ、と呼気を吐いて笑った。 「微笑ましいですねぇ~」 「日本、ちゃんと現状を理解してる?」 「ええ、もちろん。微笑ましい兄弟喧嘩です。アメリカさんはイギリスさんと対等な立場に立てて嬉しそうですし、イギリスさんは、あの方は何事にも熱いお方ですから。」 そうして、まるで慈しむような目で彼らを眺めている。そこには僅かな切なさも含まれていて、フランスはつい反論することを忘れてしまった。いとしいと、慕情と苦しみを向けているのはどちらだ。 しかしそんな日本のはかなさは、すぐに打ち消されてしまった。止めに行かないのですか?と話を振られて、え?と間抜けな返事。ああお兄さん大失態!いい男は隙など見せてはいけないのだ、常にピシッと気を引き締め、常に周りに(主にお美しいお嬢さん方※例外あり)に気を配っていなければいけないのに! 「楽しい兄弟喧嘩なら、もう少しじゃれ合ってればいいんじゃない?」 そう苦し紛れに言えば、そうですね、とまた日本は笑う。そこに沈んでいる感情は何だ。 「フランスさん。」 ん?なぁ~に?言いながら顔を向ければ、やはり穏やかな表情のままだ。この表情の彼は、嘘を言わない。多分、おそらく、そんな曖昧なものでしかないけれども。 「わたしとアメリカさんは、あなた方が思っている以上にうまくやっていますよ。あなた方が想像するようなドロドロしたものは、正義の味方とその配下には似合わないんですって。」 お聞きしたかったことはこれでしょう?とでも言いたげに、そうきっぱりと言い切った日本は、フランスが問い詰める前にするりと脇を抜けて、二人の喧嘩を止めるべく彼らの間に身体を滑り込ませたのだった。 *** 現代 PR |
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